SI2021にて2件の優秀発表賞を受賞.研究の概要とエッセンスを紹介!

先日SI2021の学会(計測自動制御学会 SI部門)にて,末岡が指導する学生2名が優秀発表賞を受賞しました.

「沖本将崇,末岡裕一郎,杉本靖博,大須賀公一:Attention-based Neural Networkを用いたスケーラブルな協調行動の学習」
「武部直人,末岡裕一郎,杉本靖博,大須賀公一:柔軟な全方向移動車両の構造と自由度を活かした多様な運動の実現」

それぞれの研究について簡潔に紹介したいと思います.


Attention-based Neural Networkを用いたスケーラブルな協調行動の学習

  • 背景:研究のターゲットは群ロボットシステム(マルチロボットシステム)である.
  • 問題点:ロボットの数が変化した場合,ニューラルネットワークの入力数が変わるため,一般的には再度学習を行う必要がある.すなわち,ロボットの故障やバッテリ切れなどが現地で起こった場合,システムが機能しなくなる.
  • アプローチと結果:それに対し,自然言語処理に用いられているAttention-based Neural Networkを採用し,マルチロボットシステムの入力の処理に用いることで,4台で学習したニューラルネットワークが8台,16台とロボット数を変化させた際にも機能することを示した.
  • 議論:ロボットの台数の変化への頑健性,物体の重さが異なるケースへの適用力を持つことがわかり,協調搬送において汎用性の高いニューラルネットワークを設計できたといえる.
  • 未来:群ロボットのOpen AIを睨み,より現実を意識したロボットシステムの設計を狙っていく.

柔軟な全方向移動車両の構造と自由度を活かした多様な運動の実現

  • 背景と問題点:全方向の移動ロボットは平面での移動能力は優れるが,凹凸や谷の場所などでの移動性能,また狭窄路への柔軟な侵入への課題があった.
  • 内容:閉リンク構造で形状が変化する全方向移動ロボットを設計した.
  • 結果①:4つのオムニホイールの駆動によって,自身の身体形状および移動を制御できることを逆運動学から示した.まず,身体形状の変化によって,坂道での推進力が向上することを明らかにした.
  • 結果②:また,狭窄路にさしかかった際には,自身の身体形状を受動的に変化させ,踏破できることを確認した.
  • 結果③:さらに,リンクをTPUという柔軟素材で設計することで,これまでの全方向移動ロボットが持たない「凹凸への適応力」を持つことも示した.
  • 議論:この結果は,全方向移動ロボットの弱点である,車輪が地面と設置したいケースにおいてはスタックしてしまうという問題を身体の柔軟性と自重による地面への押し付けによって解決できたことを意味する.
  • 今後の予定:受動的にリンク長が変化するロボットなど,妄想をさらに膨らませて,見たことのないロボットの具現化に取り組んでいく予定である.

まとめ

  • 学生さん,本当におめでとうございます.
  • プレゼンは聞いてくれる人は必ずしも研究分野と同じとは限りません.ふらっと聴きに来ることもあります.そのため,研究の背景,問題点,それに対するアプローチ,内容,インパクトをきちんと考え,準備して発表する必要があります.
  • 今回の受賞は,それに対する準備がしっかりできていた結果だと思います.
最新情報をチェックしよう!
>大学教員による未来授業をYou tubeで公開中

大学教員による未来授業をYou tubeで公開中

【阪大教員によるアクティブラーニング】You Tubeで,ロボット制作,AI設計など学校では習わないプログラミング的思考を鍛える講義を体験できます. 小学生から大人まで分かりやすい授業教材になっています.

CTR IMG