【ドクターや若手研究者 必読】研究費採択に向けた難解な申請書パズルを解く

2021年度から3年間,末岡が研究代表を務める科研費プロジェクト「Cluster-wise Strategyで切り拓く群れの自在ナビゲーション」がスタートしています.

研究の進捗はこちら(Research map)に適宜更新していますので確認してください.

末岡は,科研費 若手研究に2回採択され,どちらも一発採択でした.

若手研究の採択率は大体20%-30%台ですので、3-4人に1人が採択されます。

科研費は研究者にとって切っても切り離せないものです。

今回は、若手研究者に向けて,科研費採択に必要なアドバイスを送ります.


申請研究のポイント -他者による群ロボットのクラスタリング-

今回,末岡は「群ロボット研究」で採択されましたが,どのように申請書を組み立てていったかそのパズルを紹介します.

  • 背景:群ロボットは,価値があるよね!(なんで価値があるかももちろん書きます!)
  • 課題と着目したこと:群ロボットを目的地までナビゲートする研究は多くあるが,適切にクラスタリング(分割)して,適材適所に群ロボットをナビゲートする研究はないよね.そして,もしこれが実現できれば,皆さんもっと幸せになれますよね!
  • キーメッセージ:ただし,群ロボットが自分達の能力でやると大変なため,他者にやってもらうのはいかがでしょうか(研究のキーアイデアの紹介.すなわち,群ロボットを異種にすればいいのではないでしょうか?
  • メリット:群ロボットにナビゲーションアルゴリズムが必要なくなるため,現地での物体搬送や探索などのタスクにプログラムのリソースを割くことができる.これは,群ロボットをシンプルに設計できることにつながるため,コストも下がり,群ロボットの数を増やしても安心できますよね.
  • 研究内容:異種の群ロボットシステムを設計し,他者によって「群れを1つにまとめる方法」と「群れを2つに分ける方法」を設計し,シミュレーション・実験を通じて検証する(2-3年で終わることを書く!)

若手の研究者へ送る採択のコツ:夢ばかり書かない!具体性こそ命!

申請書は夢を書く場所でも,好き放題書いていい場所でもありません.

博士課程の学生や若手研究者の多くの人は,教授や准教授の方から学生時代にテーマを与えられて,その研究に従事してきたと思います.

ここで注意が必要なのが,「指導教員の研究目的≠自分の研究目的」です.

すなわち,指導教員の研究目的では大きすぎる可能性があります.

もちろん,その先にそれを目指す!ことは何も問題がないのですが,もっと具体性のある,いわばできそうなことで価値のある目的を申請書には書かないといけません.

なぜなら,具体性がないと読み手が「夢物語で現実性がない!」と判断し,採択されません.

実際に2-3年で行うことをイメージし,「具体的に何をして,それでどんな未来が描けるか」を読み手に伝わるように書いてください.


まとめ

  • 研究者は誰でも「申請書を書く能力」が問われます.これは自分の研究を知らない人にアピールする能力です.
  • 読み手は,「あなたの申請書の価値はなんですか?」と「具体的に何をして,それでどんな未来が描けるんでしょうか?」を汲み取ろうとします.
  • そこの部分が曖昧だと,採択されませんので,注意してください.