2021年9月8日SICE2021にて交通渋滞を解消する信号機制御に関する発表を行いました.
学会のHP:https://www.sice.jp/siceac/sice2021/:
発表タイトル
Proposal and verification of a control method for signalized intersections with a lagging green phase at a T-junction
著者
Yuichiro Sueoka, Riku Tada, Masataka Okimoto, Koichi Osuka
内容
研究の目的は,丁字路交差点における時差式信号機を対象として,渋滞を解消する信号機アルゴリズムを開発することです.
日本での渋滞の発生箇所は大きく分けると高速道路と交差点の2箇所ですが,今回は交差点(特に,時差信号機の交差点)に着目しました.
まず,大阪大学の吹田キャンパス付近の交通流を実際に測定した交通流シミュレーションを構築し,遺伝的アルゴリズムを用いた現行の信号時間の最適化を行いました.
すると,現行の渋滞を約半分に減らせることがわかりました.
次に,信号で待機している車の台数をカメラ(センサ)でカウントし,各信号機の点灯時間をリアルタイムに調整するアルゴリズム(信号機制御法)を設計しました.
その結果,イレギュラーな交通流に対して(例えば,ある道の交通流が2倍となるケース)も,渋滞が現行の信号点灯時間に比べ,約半分になることがわかりました.
まとめ
遺伝的アルゴリズムでは,現在の交流流に対してほぼ最適な信号機の点灯時間を知ることができます.
それに対し,交通流が変化するケースにおいては,信号で待機している車の台数をカウントし,信号機の時間に反映させることで,渋滞を減らせることがわかりました.
また,制御システムの設計という観点からは,フィードフォワード制御(遺伝的アルゴリズム)とフィードバック制御(センサに基づくオンラインでの信号機調整制御)を実際のシステムに対して設計したことに相当し,制御工学という学問の素晴らしい応用例だと考えることができます.
謝辞
本研究は,現在のM1 多田陸くんの高い研究遂行能力によって半年で成果を得ることができました.
改めて感謝申し上げます.