2020年度 積水化学 自然に学ぶものづくり 研究助成プロジェクト に採択(採択率 7%) -申請書 概要付-

念願であった「積水化学 自然に学ぶものづくり」に採択され,研究費を獲得しました.タイトルをキャッチーにしたり,申請書の書き方を一新したりと学ぶことが多かったです.「どんなこと書いたの?」と気になる人向けに,申請書の一部をブログに公開します.フルバージョンでほしい人は問い合わせより連絡してください.


採択テーマ:シープドッグに学ぶ,「1を以て10を操る」制御法:オーダーフリーの群ロボットシステムの創成

助成者:末岡 裕一郎

研究内容:本研究では,ロボットを1台ずつで考えるのではなく,ロボット10台を1セットにしたシステム設計を考えるアイデアを提案している. ロボットの数が100台を超えるような大規模システムでは,1台ずつシステムで監視すると,どうしても複雑なシステム設計となってしまう. もっとシンプルにできないだろうか?と考え,以下のシープドッグシステムを参考にシステム設計を目指していこうと思いつきました.


申請を考えている人へ

申請書の概要に書いた内容は以下となります.申請を考えている人は参考にしてください.

どんな申請書を書いたのか気になる人は,問い合わせから「積水化学 自然に学ぶものづくりの申請書を見せてほしい!」と連絡いただければ,申請書を送らせていただきます.

想像していただきたい.1000台のロボットを意のままに動かせるとしたら,災害現場での探索活動がどれだけ楽になるか.本申請では,このシステムをどう設計するかに取り組む.一般的なアプローチで考えると,設計はかなり複雑になる.その一方で,自然界に目を向けると,1000の群れをいとも簡単に操っている例があることに気づく.それが犬と羊の特徴を利用した,犬による羊の群れの誘導(シープドッグシステム)である.鍵は2つある.1つめの鍵は,犬側に群れの動きを決めるコントローラを持たせることである.これによって,群れ側が自分で動きを決める必要がなくなり,群れ側のコントローラ設計を単純にできる.2つめの鍵は,群れを塊として捉えることである.これによって,1個体ずつを認識する必要がなくなり,犬側のコントローラ設計を単純にできる.本申請では,この2つの鍵を取り入れた,これまでより格段にシンプルな群ロボットシステムを提示する.

シープドッグシステムとは?

シープドッグシステムは,1匹の牧羊犬が100匹以上の羊の群れを目的地まで誘導する自然界のシステムです.羊は牧羊犬を嫌う性質があり,犬が羊の群れの周りを走ると,羊は牧羊犬から逃げるように動きます.そのため,牧羊犬に指示を出すことで,羊の群れを目的地まで誘導します.

↓ こんな感じです↓ (群馬の伊香保グリーン牧場で撮影させていただきました)


シープドッグシステムに学ぶ階層型の群ロボットシステム

シープドッグシステムは,犬の操作だけで,羊の群れという大規模をコントロールできるため,どんな仕組みになっているのだろうと不思議に思い,数学を使って考えてみることにしました.

(どんな数学となっているかはここでは省略します笑)

これは,少数の脚の速いロボット(ここでは,犬ロボットと呼びます)で多数の移動ロボット(ここでは,群ロボットと呼びます)を誘導できるシステムへの応用が期待できます.

そして,本申請でも書いているような,1000台のロボットを誘導するシステム設計も目指せるわけです.

ただし,誘導するロボットの数が1000台ともなると,今度は犬ロボットが全体を常に監視するのも大変になります.先生も1人で1000人の子供は見てられないですよね笑

そこで,今回の研究プロジェクトでは,犬ロボットの負荷を減らすために,群ロボットをザクっと見るシステム設計に取り掛かっています.


参考:1分で話せ:伊藤羊一著

今回の申請書を書く際には,直前に読んだ「1分で話せ」が大変参考になりました.

書評などは別コラムで書く予定ですので,しばらくお待ちください.